食べて、避けて、弾を消して。
概要
わらわらと無数の弾が”白いあいつ”に襲いかかる!
”白いあいつ”を操作し、”輪”で囲ったイエロー・モンスターと弾を食い尽くせ!
食った弾は弾消し弾に変化して弾幕を消滅させるぞ!
敵を全滅させるとレベルアップだ! 目指せ最高得点!
【食べる】【避ける】【消す】それがこのゲームだ!
クリスマスの朝、6才の少年ジェイムスは枕元にリボンの付いた子ども用天体望遠鏡を発見し、言葉にならない叫びをあげた。
ワオ、信じられない! サンタという男は何故こうも気前が良いんだ? おそらく世界中でボクよりもクールなプレゼントをもらった子どもはいないだろう。 ボクだけこんなに良い思いをしていいのだろうか!? ありがとう、サンタ!
天体望遠鏡は宇宙に憧れるジェイムスにとって憧れのアイテムだった。これが手に入るなら親の命すら惜しくない、それほどの存在だ。
ジェイムスは高揚で震える手でリボンをちぎり、さっそく部屋の窓際に設置して太陽を覗き見た。燃え盛る地表がよく見える。いっときも休まずに膨大なエネルギーを放出する様はジェイムスから時間の概念を奪い、釘付けにさせた。
日が沈んでも望遠鏡の前から微動だにせず、天体観測を続けるジェイムス。地表に踊る黒いプロミネンスが美しい。夜の太陽にはまた違った味わいがあり、いつまでも見ていられそうだった。
すっかり太陽の虜となったジェイムスは望遠鏡を覗くのが生活の一部となっていた。そんなある日の晩、不思議な存在を見つけた。無数の赤い物体が太陽の地表をうごめいている。サイズは東京ドームほどだろうか。
よく見ると、いくつかの巨大なイエロー・モンスターがそれを放出しているようだった。そしてそのイエロー・モンスターと赤い物体を踏み潰して回る更に巨大なモンスターがいる。真っ白なそいつは追っているようにも追われているようにも見えた。
ジェイムスは息を飲んだ。ボクはとんでもない大発見をしたのかもしれない……!
ずっとデカき者どもの戦争を眺めていると、ジェイムスはあることに気づいた。真っ白なモンスターがずっとこちらの方を見ている。二人は望遠鏡を挟んで視線を交わしていたのだった。驚いたジェイムスは望遠鏡から離れ、壁によりかかって胸に手を置き、深く息を吐く。
何だったんだ、あいつは……? イエロー・モンスターと赤い物体、そして白いあいつは一体どんな関係なんだ?
心を落ち着かせてもう一度望遠鏡を覗くと、やっぱり白いあいつはジェイムスの方を見ていた。気のせいじゃない、あいつは確かにジェイムスを意識している。あいつは口のようなものをパクつかせて、何かを伝えたがっているようだった。
時間とともにイエロー・モンスターと赤い物体が数を増やしていく。白いあいつの姿がだんだん隠れていき、最後は赤い物体の海に呑まれてしまった。
それきり白いあいつは姿を見せず、やがてイエロー・モンスターと赤い物体も少しずつ姿を消していき、太陽からは完全に生命の気配が消失した。
その後、ジェイムスは白いあいつのことが気がかりで宇宙飛行士を志し、人類で初めて太陽を踏んだ男となる。
しかし、あいつとの再会は果たせず、再び太陽へ向かうための訓練中に不慮の事故によって世を去ってしまった。
あの時6才の少年が見た光景は、人類が地球外生命体を見た最初で最後だった。